星の欠片?

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「崎風、今日も頼むな」 帰ろうとしていた私を呼び止めたのは担任の先生だった。 私の名前は『崎風 楓』普通の高校2年生だ。 担任の白鳥先生は私の所属する美術部の顧問でもあり。 時々、美術室の掃除を頼まれている。 「さ、行こうか」 やれやれ、決定事項か。私も掃除は嫌いではないので、悪い気はしないが戦力に最初から組み込まれているのも考えものだ。 「今日は開かずの間も綺麗にするよ」 開かずの間……と、言ってもただの倉庫なのだが、今日は大掃除になりそうだ。 「崎風、行くぞ」 ホント、白鳥先生は雑なんだから、嫁の貰い手がいないわけだ。 ブツブツ言いながら4階の美術室に行くと途中で後輩の桜田くんとすれ違う。 『桜田 冥也』こと桜田くん、小さい頃からの幼馴染で何時も一緒に遊んでいた。でも、最近はお互い部活が忙しく遊ぶ機会はめっきり減った。何時からだろう?大好きなサッカーを一緒にしなくなったのは、私が髪を伸ばし始めてからのような気がする。 「崎風、お前は美術部の手伝いか?」 「ま、そんなところだ」 「なあ、今度のサッカーの試合見にきてくれよな」 「あぁ、考えておく」 桜田くんは少し言葉をにごして言う。そんな事は気にせず私は何時もの様に返す。 「大切な試合なんだ」 「分かったよ」 そう、彼との関係も少しずつ変わってきていた。 お互いの事を意識するそんな言葉が似あう関係なのかもしれない。 「崎風?油売ってないて行くぞ」 白鳥先生が不機嫌そうに言う。当たり前だ、今は美術室の掃除に4階に向かっていたのだ。 雷でも落ちないうちにさっさと行った方がよさそうだ。 「またな」 「あぁ」 桜田くんと別れて階段を上って美術室にたどり着く。 「それじゃあ、掃除の手伝いよろしく」 そう言うと白鳥先生は片付け始める。 私も言われた通り開かずの間の物を出し中の掃除を始める。 そうすると、そう、それは出会いであった。 ほこりを被った一枚のキャンパスであった。
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