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「ウオッホン! ・・・よいか、
夜の森にはな、
恐ろしい悪霊が徘徊しておる・・・。
特に冬の夜には絶対に森へ出てはならん、
・・・それはおまえ達が子供だからではない、
例え大人になっても、それは同じじゃ・・・。
特に陽の一番短い冬の日は、
奴らが最も活発になる時じゃ。
森のヴィルダーヤークト(荒々しい悪霊)、
ナハトイェーガー(夜の狩人)共が、
凄まじい風と共に行軍する。
夜は彼らの物じゃ・・・、
生ある者がそこを侵してはならぬ。
もしそれを破れば、
いかなる者も、奴らに捕まり、
死者の王ヴォーダンの元に引きずられていくだろう。
・・・そして二度とこの世に戻ってくることはない・・・。」
・・・小屋の外は既に強い風が吹いている。
陽はまだ落ちきってはいなかったが、
短い冬の日差しは、
間もなく到来する暗黒の夜が、
すぐそこまでやって来ていることを小屋にいる者達に告げていた。
「ねぇ!
ニコラ爺さんは夜の森に出かけたことがあるの!?」
好奇心の強いチビのエルマーは、
相手が誰だろうと物怖じしない。
「わしかね?
あるともさ!
わしがおまえらのような子供の時じゃ、
親父の言いつけを守らず、
夜の森に出てしまってな、
森の真ん中まで来たときに、
大勢の兵隊達が森の中をさ迷い歩くのを見た。
骸骨の行軍をな・・・。
鎧の音か、骨の音か、
ガチャガチャと不気味な音を鳴らして歩いとった・・・。
そして、その後ろには、
森の魔女・・・
フラウ・ガウデンが、
首のない馬車に乗って通り過ぎおった・・・。」
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