Lady メリー第三話 Lady メリーと黒い森

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    「ウオッホン! ・・・よいか、  夜の森にはな、  恐ろしい悪霊が徘徊しておる・・・。  特に冬の夜には絶対に森へ出てはならん、  ・・・それはおまえ達が子供だからではない、  例え大人になっても、それは同じじゃ・・・。  特に陽の一番短い冬の日は、  奴らが最も活発になる時じゃ。  森のヴィルダーヤークト(荒々しい悪霊)、  ナハトイェーガー(夜の狩人)共が、  凄まじい風と共に行軍する。  夜は彼らの物じゃ・・・、  生ある者がそこを侵してはならぬ。  もしそれを破れば、  いかなる者も、奴らに捕まり、  死者の王ヴォーダンの元に引きずられていくだろう。  ・・・そして二度とこの世に戻ってくることはない・・・。」 ・・・小屋の外は既に強い風が吹いている。 陽はまだ落ちきってはいなかったが、 短い冬の日差しは、 間もなく到来する暗黒の夜が、 すぐそこまでやって来ていることを小屋にいる者達に告げていた。  「ねぇ!   ニコラ爺さんは夜の森に出かけたことがあるの!?」 好奇心の強いチビのエルマーは、 相手が誰だろうと物怖じしない。  「わしかね?  あるともさ!  わしがおまえらのような子供の時じゃ、   親父の言いつけを守らず、  夜の森に出てしまってな、  森の真ん中まで来たときに、  大勢の兵隊達が森の中をさ迷い歩くのを見た。  骸骨の行軍をな・・・。  鎧の音か、骨の音か、  ガチャガチャと不気味な音を鳴らして歩いとった・・・。  そして、その後ろには、  森の魔女・・・  フラウ・ガウデンが、  首のない馬車に乗って通り過ぎおった・・・。」  
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