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Vol.11 She was unstoppable ~1%の男達~ #2
そして加賀友禅の渋い着物を買ってもらい着付けてもらって彼女の行きつけの
美容院で髪をセットしてもらっていた。
「ちょっとぉ、似合い過ぎ~あんたっ」
「着物がいいからだよ。でも結構目立ってるけどコレでお店でていいの?」
「これじゃあ駄目なんて誰も云えないわね。瞳子、本気でうちでちょっと働いてみない?ほんの少しの間でもいいからさ」
「もちろん緋沙子はオッケーだろうしさ、パパさんにも頼んであげるから、私の側でなら安全だしさぁ、お客さんは私の選んだ人のみで限定すればいいからさっ!いい人生経験になるわよ」
ママは昔、彼女の店でナンバーワンだった事があり、パパもそう云う事に関しては寛大なセンスをもった人だったから、ちょっとその世界を覗いてみようかな?と思った。
「いいかもね?でも私みたいなガキでも通用するのかね?小百合ママのお店は老舗中の老舗だからなー」
「その私が見込んで言ってるんだから間違いないわよ」
「私のお下がりの着物いっぱいあげるから、溜池のマンションまで明日車でとりにおいで」
「明日ってそれまた急だね、事務所に内緒でだから出れる日にバラツキでちゃうけどな」
「なんでもオッケーだからさ、お酒飲まないでいいし、時間も日取りもあるときだけでいいから働くって思わないで、見学って感じで時折顔出してくれればいいからさ?」
「そんないいかげんじゃ他のお姉さん達になんか言われたりしないの?」
「あんた私のこと誰だと思ってんのよ?(笑)」
「そりゃそうだっ(笑)」
そうして私達は彼女の<旦那さん>との待ち合わせ場所へ向かった。
その料亭の特別に仕切られた部屋にいたのは、関東一のヤクザの親分さんだった。いかにも...という様な感じではなかったので、彼女に誰かをあかされるまではその肩書きを知らずにいた。
「おおー、これまた凄い新人みつけたな?」
「瞳子、緋沙子の娘なのよっ納得?見学程度にこれからチョコチョコお店に顔出させようと勧誘中なの」
「緋沙子の..道理で...懐かしいなぁ。あの無鉄砲な緋沙子がいた頃はいい時代だったな...」
彼が目をほそめた。
「そして時代は巡るかっ」
「瞳子です。なにも知らないままで今日はご一緒させていただいています。
これからも宜しくお願いいたします」
「緋沙子と違って礼儀知ってるじゃないか(笑)」
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