第二幕。

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沈んでいた意識の中、 普段、嗅ぎ慣れない芝生のような香りがする。 遠くからではない。 体に、その感触さえあるのだ。 なんてリアルな夢だろう、 私はそう思いながら 己の瞳を開く。 その、眼に映ったのは。 いつもの部屋の天井、ではなく、 大草原のような場所にありそうな大空だった。 「…は?」 すっとんきょうな声は 思いの外、大きく聞こえた。 …自分の声だと言うのに。 放心しかけるも、 寝ていても仕方ない、と 気怠げに起き上がる。 青々とした、野草に 所々、小さな可愛らしい花が咲いている。 遠くに山も見える… うっすらと白く見える。 あれは、雪山か?等と 一人で思案していると。 《…ぎ、ァ、あ…?》 聞き慣れない音を 私の耳は拾った。 何の音だ? 声には出さず、 私は振り向いた。
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