第1章

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白田は一個約12秒のペースで一皿を完食すると、 次の皿をコールした。これは驚異的スピードである。 対し、吉田は1分で一個という常人ぶりを見せつけた。 しかし、吉田は焦ってはいなかった。 あえて常人ぶりを見せつけることで、油断を誘い、 寸前で逆転するというシナリオを描いていたからである。 これは囲碁将棋部副部長の経験がなせる業といえよう。 だが、しかし……  25分経過。 ――――「残り時間5分」  テーブルの上を満たしていたものは 底なしの「絶望」であった。 「はぁはぁ…… ――うぷぅ…」 『吉田ッ!! もういい…もういいんだッ!! これ以上食べたらお前は…もう……』 「お…鬼先生うぷぅ…… 僕が…僕が食べなきゃ……誰がみんなを救えるんですかッ!!」 「僕は最後まで絶対に諦めませんッ!!」 『吉田…でも、お前…… 4個って…。 もう少し食えなかったのか?』 「すみません…うっぷ………」 「ぐへへ… どうやらもう勝負は決まったみたいだね。 それにしても吉田君、君、弱すぎるよ」 「うぷ…そうだね。僕は少食だよ。 でも、君だってたった43皿じゃないか? その体格で43皿って実際どうなのかな? 大したことないよね?うっぷ…」 「ぐぬぬぬ~!! いいだろうッ! 冥土のみやげに僕の本気のラストスパートを見せてあげるヨッ!!」 ばくばくむしゃむしゃ!! むご、ん、、むしゃむしゃあややや!! 『なッなんて奴だ! 白田はまだ本気じゃなかったのか!? ペースが一気に上がった!』 ――『残り時間3分を切ったぞ!! 現在皿数は!?…… 吉田が今ようやく一皿食べ終えた!』 白田は!? 52皿だと!! 両者の差は51皿!! これは…もう万事休すか……」 ――――「残り時間1分」 バクバク、ムシャヤア ぐへへ、、僕の勝利はもう秒読みだ!! 「うっぷ……白田君、最後まで勝負はわからないッ!!」 (――あと少し――後少しのはずだ……!)
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