第5章

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だがナオトはリュウジに近づくと 『何やってんだばーか』 と、イタズラっぽく舌を出した。 『いつもなら扇が飛んでくるのに…』 『じゃ、お望み通りに…』 と言うと、ナオトは腰に差していた扇を手に取り、無防備になっていたリュウジの額を打った。 『あねさん、痛い』 もう来ないと思っていたのでリュウジはガードを緩めたところだった。 『扇が来るって思ってたってことは、殴られるようなことを言った自覚があるってことだろ?』 『だって、あにさんだって、あねさんに甘えて欲しそうだったし…』 リュウジの言葉にナオキは大きく頷いた。 それを見たタカノリは小さなため息を吐き、 『師匠のイメージがどんどん崩れていく』 と、肩を落としていた。タカノリはナオキに尊敬の念を抱いていたので、予想外のナオキの様子が受け入れにくいようだった。
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