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『俺が目を背けていた間に、お前はこんなにも腕をあげていたんだな』
ナオトの言葉にナオキは微笑みを浮かべる。
『わたしが腕をあげたと言うのなら、それは全てあにさまのおかげです』
『え?』
ナオキの言葉にナオトが戸惑ったような顔をした。
『わたしはあにさまに認めていただきたい一心で神楽の舞を突き詰めてきたのですから…』
『今なら、認めてやれる。お前こそ、神楽の舞の後継者だよ』
『あにさま…』
ナオキは顔を綻ばせナオトを抱き締めた。
『だから、暑苦しいって…』
『なんと言われても離しません。これほどに嬉しいことなど、ないのですから…』
そんな様子を見ていたタカノリはちょっとだけ俯き、
『仕方ないか、師匠があんな風に嬉しそうなとこ、見たことないもんな』
若干諦めにも似た思いを抱きながら、タカノリが呟いた。
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