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『リュウジ大丈夫だよ、後ろには俺がいるから、支えてやるよ』
エリーが言うとリュウジはにかっと笑い
『エリー、優しい!誰かさんとは大違いだね』
と言った。
ある店の前でリュウジが足を止めた。
リュウジは扉を開けると暖簾をくぐる。すると真正面に立っていた女性がリュウジに気づいた。
『リュウジ!』
『かれんねえさん。お久しぶりです』
女性は白と黒の縦じまの一風変わったドレスを着ていた。だが何よりも人目を引くのは顔をマスクで覆っていることだろう。
『ねえさん、なんで顔を隠してるの?』
『「をんな屋」のあねさんに飼われてるなんて言われちまうと、あねさんに申し訳がなくてね、堂々と顔を晒す気になれないのさ』
リュウジの問いに答えた彼女の手を取るとリュウジは強い口調で言った。
『そんなやっかみ気にすることないよ。俺はかれんねえさんの笑った顔を見たいのに』
『リュウジ…』
彼女はリュウジの手を握り返した。
『お前は本当に優しい子だね』
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