第5章

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『かれんねえさん、実は俺、唯一無二の「うたい屋」になるつもりはないんだ』 『は?』 リュウジの言葉を聞いたかれんの声に動揺が走った。 『でも、あねさんとの約束はどうするんだい』 『あねさんには話した。分かってもらえたよ。だから、今日俺たちはここに来たんだ。新たな夢のために…』 『そうかい。でもね、あたいにとってはお前が唯一無二の「うたい屋」さ』 かれんはそう言ってリュウジの肩に手を置いた。 『かれんねえさん…』 リュウジの瞳が涙で潤んでいた。 『あたいだけじゃない。あねさんの店にいる子たち、みんな同じ気持ちだよ。あたいたちは、お前の歌声に救われてきたんだからね…』 『ねえさん!』 リュウジはかれんの名を呼びながら彼女に抱きついていった。 『皆さんの前でなんだい…』 『だってねえさん、昔から俺を守ってくれたから…』 『リュウジ、お前を守ってたのはあたいじゃないさ、あねさんだよ』 かれんの声は厳しさを含んでいた。
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