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『それは分かってるよ。でもねえさんは俺に初めて優しくしてくれた人だから…』
『リュウジ…』
かれんは少しだけうつむくとリュウジの胸に頭を置いた。
『それはあたいも同じだ。お前の歌声にあたいたちがどれだけ救われたか…』
「界隈」の権力者の女たちが蔑むのは「言いなり」だけではない。身分の低い者も蔑まれる。
店に訪れる客たちは、店の女たちにさえ辛く当たっていた。
女たちは、涙を堪え部屋に戻り悔しさに耐えるしかない。そんな時は、皆リュウジの部屋に集まりリュウジに歌ってもらっていた。
『リュウジ、お前の歌には傷ついた人の心を癒せる力があるよ』
かれんの言葉に部屋にいた皆が頷いた。
『ねえさん』
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