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『リュウジ…お前が悔いを残すような行き方をすることを、望む奴はいないさ。自分の信じた道を真っ直ぐに進めばいいんだよ』
かれんの言葉にリュウジは涙を浮かべた。かれんにはリュウジの気持ちが分かっていたんだろう。
『お前が家族を裏切るようなことをしないことくらい、みんな分かっているさ。それにお前が自分を偽るようなことを選ぶ方が、みんな辛いはずさ』
タカノリは二人のやりとりを見ていて少しだけ羨ましく感じた。かれんは本当にリュウジを大切に想っていて、リュウジも同じように彼女を大切にしている。そこにあるのは紛れもない信頼関係だ。
自分はこんな風に他人に心を開いたことはないし、自分を心配してくれた人もいない。
大切にしたいと思うのは師匠であるナオキを含めた今仲間と思える6人だけ。
そんなことを考えていたら、オミが視線を向けてきた。そしてゆっくりと自分に近付いてきたオミは、自分の肩に手を回し
『タカノリ、もらい泣き?』
と、ニヤニヤしながら聞いてくる。
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