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だがナオトは立ち上るとオミの前に移動した。オミに体を摺り寄せその頬に手を当てたナオトは上目遣いで囁く。
『俺は「をんな屋」お前が俺を買うって言うなら抱かれてやってもいいさ』
言いながらナオトはオミに顔を近づけていく。もう少し近づけば唇が触れる程の距離。ナオトはオミの唇にふっと息を掛けた。甘い吐息にオミが唇を触れ合わせようとした時だった。
『でもねぇ、ナオのあにさんを釣るための道具にしようってんならお断りだよ』
オミの目がかっと見開いて、ナオトの瞳から侮蔑の色が溢れた。
『図星…だねぇ』
ナオトはオミから離れ、元いた場所に戻った。そして置いてあった扇を手に取って、オミに向けて器用に飛ばしてみせた。
『けぇんな』
飛ばされた扇が床を流れるように落ちた時、ナオトの冷たい声が響いた。
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