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『ちょうどうちの子たちの世話をするものを探しておりまして…ご無理と承知いたしておりますが、この「をんな屋」のお願い、聞き届けてはいただけません?』
柔らかな物言いだが、押し通す強さもあった。女はしばし考えていたが卑しい笑みを浮かべ答えた。
『あねさんにそこまで言われては…』
ナオトに恩を売る方が都合いいと考えた女は、彼の申し出を受け入れた。
店の女に連れて行かれたリュウジはある部屋に通された。
『ここで待っておいで』
そう言った女はリュウジの頭に手を翳す。びくっと体を竦めたリュウジに女は大丈夫だよと声を掛け、顔を上げた彼の頭を優しく撫でてくれた。初めて掛けられた優しい言葉にリュウジの瞳に涙が浮かぶ。リュウジはその場に蹲って泣き出した。
『待たせたね』
ふすまを開けたナオトは泣いているリュウジの隣に来ると彼の体を優しく抱き締めた。
『辛い思いをしたねぇ』
優しい言葉はさらにリュウジの涙を溢れさせる。
『よしよし』
ナオトはリュウジを抱き締めながら、そう声を掛ける。
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