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『昨日はしっかり抱きついてきたくせに、そんなに怯えないでおくれよ』
ナオトの言葉にリュウジの顔が赤く染まる。ナオトはそんなリュウジの頭をそっと撫でた。
すると部屋の外が少し騒がしくなった。ナオトはやれやれとため息をついた。リュウジがふすまに目を向けると、隙間が細く開いている。ナオトは勢いよく立ち上がるとふすまをバンと開いた。
『きゃぁ』
叫び声をあげて女たちがなだれ込んできた。その姿を見たリュウジは怯えたように身を竦めた。
『お前たち、何やってるんだよ』
『だって、あねさん…』
『昨日あんなに泣いてたから…』
ナオトの言葉に女たちは口々に答えるが、みんな一斉に喋るので収集がつかない。リュウジは訳が分からずにきょとんとしていた。
『ほら、リュウジが驚いてるじゃないか。今日はそっとしておいておやり』
ナオトが言うと女たちは渋々引き上げて行った。だが一人すっと部屋の中に入った女がリュウジに袋を投げた。袋の中には色とりどりの金平糖が入っていた。顔を上げたリュウジが見たのは、昨日自分の頭を撫でてくれたあの女の笑顔だった。
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