第2章

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『お前はもう「言いなり」なんかじゃない。いいかい、ここにはお前を「言いなり」なんて呼ぶ奴は一人もいない。そんなふうにお前を呼ぶ奴がいたら、俺が叩き出してやるよ』 ナオトはそう言うとリュウジの体を引き寄せて抱き締めてくれた。 『あねさん』 リュウジの瞳をまた涙が濡らす。ナオトはリュウジの頭を撫でながら言い聞かせるように言った。 『ここにいる女たちはお前の新しい家族。ねえさんって呼んでおやり。きっと喜ぶ』 『はい、あねさん』 素直に頷くリュウジ。 『ここに慣れてきたら、少しずつ仕事も頼むことになる。そうだ、お前は自分がやりたいことはないのかい?』 ナオトに聞かれリュウジは俯いた。だがちらりちらりとナオトを盗み見ている。ナオトはふっと口許を緩めると 『ないなら別にいいんだけどね』 と立ち上がって背中を向けた。 『お、俺…』 ナオトがその場で足を止めるとリュウジは身を乗り出して訴えた。 『俺、歌いたい』 その言葉にナオトは振り返る。 『歌?』 ナオトが聞き返すとリュウジは顔を真っ赤にさせている。
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