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『ありがとよ』
ナオトが微笑むのを見てリュウジは慌てて手を離した。今になって照れくさくなったのか、リュウジが視線を逸らす。
『そういや、最近出かけてばかりいるらしいね。あの子たちが寂しいって嘆いていたよ』
『え?本当に?』
『ああ。たまにはあの子たちに歌っておあげよ』
リュウジは俯いて小さくうんと答えた。
『ところで、お前ら何を企んでるんだい』
『へ?』
唐突なナオトの言葉にリュウジは気の抜けた声とともに顔を上げた。だがあまりに唐突なその言葉は、まさにリュウジが隠している事実そのものだった。嫌な汗が噴き出すのを感じてリュウジはナオトの視線から顔を背ける。だがそれはナオトの読み通りだった。
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