第3章

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『次に一緒に舞う時は見違えるほどの舞を見せろよ』 ナオトはそう言ってナオキの肩をぽんと叩いた。 『あにさま…』 『また泣く。兄弟弟子と言っても俺たちは神楽の舞の跡目を争っているのだ。お師匠様はいつまでも俺に甘えるなと言いたかったのかもしれぬ』 『あにさま以上に美しく舞える者はおりません。跡目はあにさまが…』 『そのような心持ちでどうする』 ナオトはそう言うとナオキを見上げた。いつの頃か自分よりも大きくなっていたナオキ。だがその心はまるで変わらない。自分のことを慕ってくれるナオキのことを、ナオトは本当に可愛がっていた。 『あにさま。わたしも精進して、あにさまに舞を認めてもらえるようになります』 ナオキは涙を拭うとナオトに向かってそう言った。 『そうだ。俺を越えるくらいの心持ちでいろ。俺たちは兄弟で、ライバルだからな』 ナオトはそう言って笑った。
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