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店を出たタカノリは口許を緩めながら手の中の包みを上着のポケットに押し込んだ。
『今日の稼ぎはどうだった?』
そのタカノリの肩に手を回した男が妖しいまでの笑顔を浮かべる。タカノリはその顔を一瞥すると回された手を振りほどいた。
『馴れ馴れしーんだよ』
『昔馴染みにつれねーな』
拗ねたような声を上げる男にタカノリは面倒臭そうな顔を向ける。
『たかりに来たのかよ、オミ』
『別に俺は食うには困ってねーよ。つか、メシ食いに行かねー?』
『どういう風の吹き回しだよ』
タカノリは訝しむような視線をオミに向けた。だがオミはそんなタカノリの様子に不満そうに口を尖らせる。
『男同士で話がしたいだけ…』
『ちっ』
昔からの付き合いで、タカノリはよく知っている。オミは機嫌を損ねると長い。いつまでもぶちぶちと言われれるのも厄介だ。
『メシ食ったら帰るからな』
仕方なく折れたタカノリ。だがオミはすぐに機嫌を直した。
『じゃ、行こうぜ』
そう言ってタカノリの手を引いてずんずんと先を進んでいく。
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