第1章

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オミが足を止めたのはある店の前。竹刀を携えた女性が二人、オミに視線を向けると頭を下げた。するとすっと扉が開く。オミは躊躇いも見せず中へと進んでいく。タカノリはその後についていった。 店の中にも刀を腰に差した女が二人、入り口を守るかのように立っている。オミは片方の女を値踏みするように見つめるとにやりと笑う。その様子にタカノリは苛立ちを隠せなかった。 さらに店の奥へと入って行くオミ。店の中央には白い木が植わっていた。その木を囲むようにカウンターが作られている。しゃれた造りの内装が珍しいのか、タカノリはぐるっと見渡していた。 そこに一人の女性が現れる。彼女はオミの肩に手を掛けると 『おかえり。あちきのうたい屋』 そう言って口許を緩めた。それを見たタカノリがぼそりと呟いた。
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