3人が本棚に入れています
本棚に追加
~~~~~~~~~~~~~~
紅葉の綺麗なある秋の日、とあるカフェに、一人の客が訪れました。
その客は、テラス席に座り、コーヒーを頼みます。
コーヒーがテーブルに届くと、客はタバコを一本、取り出しました。
「やあ、コーヒーさん。こんにちは」
「あら、タバコさん。ごきげんよう」
「ねぇねぇ、僕たちってさ、いい相性だと思わない?」
「そうね。私を飲むと、タバコさんが欲しくなるってよく言われるわ」
「ふふ。ここで君と僕が出会ったのも何かの運命かもね」
「あら・・・」
「これから、僕たちはこの人の許(もと)で一つになるんだよ?運命としか考えられないよ」
「まぁ・・・」
『カチャ』
客が、コーヒーカップを手に取り、口元へと近づける。
「タバコさん…」
「コーヒーさん。先に行ってて!すぐに追いかけるから」
「ええ。待ってるわ」
『ゴクッ』
コーヒーが、客の喉を通り、胃袋へと流し込まれる。
『カチッ』
タバコがくわえられ、ライターの火が近づく。
「ふふふ、コーヒーさん…今、行くよ、君の元へ…」
客が、火を翳しながら、一口、息を吸い込む。
『スー…』
ケムリが、客の喉を通り・・・コーヒーの待つ胃袋ではなく、肺へと吸い込まれる。
『プハー』
ケムリは、コーヒーと触れ合うこと叶わず、寒くなり始めた秋の空へとむなしく流れていくのでした。
「コーヒーさぁぁああん…」
~~~~~~~~~~~~~~~~~
女は、フーっとケムリを吐き出し、笑顔を作ります。
「おしまい。どお?」
「・・・切ないね。」
「ね。」
苦々しい顔で灰皿にタバコを押し付ける男。
すました顔でコーヒーに口をつける女。
『コーヒー&シガレッツ』
いい組合せだけど、交わることは一生ない。
一緒に仕事するにはいい関係かもね!
fin.
最初のコメントを投稿しよう!