カフェ

2/3
前へ
/3ページ
次へ
表参道。 路地をちょっと入ったところのオサレなカフェ。 ウッドデッキのオープンテラス。 美男美女の二人組。 男はビシっと決まったスーツ姿。 胸にはポケットチーフ。 オサレやね~ 女はビジネスカジュアル。ビジカジってやつね。 OLさんかな。 二人の元に運ばれるコーヒー。 と、同時に男はジャケットの内ポケットからシガレットケースを取り出す。 シルバー製のケースに1本1本移し替える、オサレなやつ。 10本くらい入る、平べったいやつね。 女も、膝の上に乗せたカバンからグッチのポーチを取り出す。 中からは、細くて長い、ケムリがあんま出ないたばこ。 ライターは、100円ライターみたいなやつだけど、なんかキラキラのホログラムで包まれてるやつ。 男は、コーヒーを1度くちに運んだあと、無造作にZippoに火を灯し、タバコに炎を移す。 男らしくてカッコいいね! 女は、コーヒーで口を潤したのち、同じくらい潤んだクチビルにスリムなフィルターをくわえ、左手で口元を抑えたまま、右手のライターで火をつける。 まるで髪をかきあげる仕草のようで見とれちゃうね。 男がぶはっと煙を吐き出す。 女はふーっと、細く長くケムリを吐き出す。 男が親指でフィルターを弾き、灰皿の上に灰を落として語りだす。 「ねぇ、コーヒーとタバコっていい組合せだよね」 「そうね」 「まるでさ、俺達の関係みたいじゃない?」 「・・・」 女は、くわえたタバコの煙をもう一度すって、ケムリを吐き出し、灰皿の縁をなでるようにして灰を落としてから語りだす。 「ねぇ、タバコとコーヒーのお話しをひとつ、してあげましょうか」
/3ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加