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表参道。
路地をちょっと入ったところのオサレなカフェ。
ウッドデッキのオープンテラス。
美男美女の二人組。
男はビシっと決まったスーツ姿。
胸にはポケットチーフ。
オサレやね~
女はビジネスカジュアル。ビジカジってやつね。
OLさんかな。
二人の元に運ばれるコーヒー。
と、同時に男はジャケットの内ポケットからシガレットケースを取り出す。
シルバー製のケースに1本1本移し替える、オサレなやつ。
10本くらい入る、平べったいやつね。
女も、膝の上に乗せたカバンからグッチのポーチを取り出す。
中からは、細くて長い、ケムリがあんま出ないたばこ。
ライターは、100円ライターみたいなやつだけど、なんかキラキラのホログラムで包まれてるやつ。
男は、コーヒーを1度くちに運んだあと、無造作にZippoに火を灯し、タバコに炎を移す。
男らしくてカッコいいね!
女は、コーヒーで口を潤したのち、同じくらい潤んだクチビルにスリムなフィルターをくわえ、左手で口元を抑えたまま、右手のライターで火をつける。
まるで髪をかきあげる仕草のようで見とれちゃうね。
男がぶはっと煙を吐き出す。
女はふーっと、細く長くケムリを吐き出す。
男が親指でフィルターを弾き、灰皿の上に灰を落として語りだす。
「ねぇ、コーヒーとタバコっていい組合せだよね」
「そうね」
「まるでさ、俺達の関係みたいじゃない?」
「・・・」
女は、くわえたタバコの煙をもう一度すって、ケムリを吐き出し、灰皿の縁をなでるようにして灰を落としてから語りだす。
「ねぇ、タバコとコーヒーのお話しをひとつ、してあげましょうか」
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