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帰り道、未だ午前中。
交易商の隊列が今日も南城門を通る。
拙い事に昨日の男の一人と目が合った。
「仕事の邪魔だったが未だ未だだな」
男は笑っていた。
「次は若気のいたりじゃ済まないぜ」
金属でデキているかのような太い腕。
短髪、鎧のような革ジャケット。
眼をそらさない、がやっと。
確かにまだまだと二人は思った。
恐らくこの男は国籍がない。
私的な籍はこのところの流行りだった。
「会戦」の噂も信憑性があった。
壁紙の「兵役募集」、人身売買。
そんな情勢。
端緒はきっと小規模なものだろうが。
傾国と乱世の兆候。
「奪い返そうと――」
「あんたらじゃ無理」
「そうですか」
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