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『父が行方知らずになった四、五歳のころ
母が手放したちょうど今。
家を失ったニナ。
麻痺したかな、と思う。
この世界の女性に割合と多くみられる。
打撃と閉鎖。
部屋は調度も揃い悪くはなかった。
が、鍵の開閉は室外からしかできない。
これから生きる出なく死ぬでなく。
此処で幽閉されるのだろう。
誰か主が訪れるまで。
文明が排除して排除しきれなかった闇。
ましてや高度文明の遺跡に乗った社会。
実際は封建制度まで文明は後退している。
変える、という起爆、が必要だった。
皆もう疲れていた。
モダニズム以降の停滞。
成文法を失いつつある世界。
カーテンの向こうの日。
恵まれた世界の記録を再生する。
この部屋を出れない代わりの楽しみ。
殻には他の影響が入りすぎだった。
この世界の一日を二十四等分した時刻。
誰とも言葉を交わせない。
苦痛の時間は、長いらしい』
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