第1章

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さてどうしたものか――――箱の中から煙草を一本取り出しながらそう考えてはみるが、不思議と焦りは無い。 ついでに言えば悲しいとかそういう気持ちもいまいちピンと来ない。 悲しむにも怒るにも、最低限の情報が必要なのだ。 その情報が無い人は怒ることも悲しむ事も無く、ただ不安に打ちひしがれる。 何故私がその不安に打ちひしがれること無くこうして飄々としているのかと言うと。 まあ、元々そういう性分なのだ、よく分からないのに焦ってもろくな事はあるまい。
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