第1章

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マッチを擦り火を点け、咥えた煙草に火を点けながらそのような事を考えていた。 このような状況でそこまでのんびり考え事をしているあたり、暢気なものだな、と我が事ながら呆れている。 縁側に腰を下ろし、くゆらせている煙草の煙をぼうっと眺めるという行為も三本目に入ろうとしていた頃。 縁側の奥の方の廊下から、人らしきものの足音が聞こえてきた。 これはいかんか……? どこか漠然とした、遅すぎるとも思える危機感から身を隠そうとしたが、隠れるのに向いてる場所も知らなければ逃げる場所も知らない事を思い出し止めた。 逃げたところでどうしようもあるまい。
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