ミルク×コーヒー

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「どうして、俺のことを避けるんですか」 好きだからだとは、言えなかった。 口にしたら、全てが終わってしまうような気がした。 「友達に、なったんじゃなかったんですか」 初めて連れてこられた彼の部屋は物が少なく、綺麗に整頓されていて、どこか冷たいような印象を受ける。 「そう、だけど……」 僕は彼より大分年上だし、いつものカフェでしか顔を合わせることはない。 接点などほとんどない相手と、友達になれたというだけでも、すごいことだったはずなのに。 どうして、足りないなんて思ってしまったんだろう。 欲深い感情を、僕は必死で押し殺した。 「友達だったら、側にいても許されるかと思ったのに」 彼が、困ったように笑う。 「友達にさえなれないなら。もう、いいです」
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