ミルク×コーヒー

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視界が、揺らいで。 背中に、鈍い痛みを感じた。 「俺のことを、好きになれないのなら」 床に押し倒されたのだと気付いたときには、もう何もかもが遅かった。 「嫌いに、なってください」 誰よりも、と彼は言った。 甘い、声だった。 彼の白い手が僕に触れるたび、僕はまるで彼を汚しているような錯覚に陥った。 彼の未来ごと、自分の仄暗い欲で汚しているような気がしてならなかった。 汚れる、と僕が思わず呟くと。 「俺が、汚してるんです」 ぽたり、と。 白い雫が、黒く濁った胸の中に落ちたような気がした。
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