『臥し待ちの月』

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「この量と種類……しかも、大和は、他者の亜空間も自在に操れるわけですね、力負けさえしなければね。これは、火の屋でも出来なかった技ですよね」  他者の亜空間を操るのは、一羅に教えて貰った技であった。  俺の亜空間は、かつてのゲートキーパーが使っていた亜空間もある。放っておくと危険であったので、閉じたのだ。 「それと、きっと秘密でしょうがね。新しい、亜空間を作りましたね」  そこまで気付かれるとは思わなかった。五羅を探すために、試行錯誤していたのだ。 「分かりました。亜空間使いの技、全部、伝授しましょう。君はそのままでは、危険過ぎる。宝物というより、核ですね。取扱いが危険過ぎる」  桜川の察しが良くてよかった。俺の説明では、きっと理解されなかったであろう。 「あと、高麗は寝室で寝ています。聞いていますよ、寿退社は了解しています」   亜空間使いの技。俺も、修行はしたことがない。それぞれが師匠のやり方を見ながら、勝手に真似て覚えているのだ。 「でも、その前に」  又刺客が出てきた。今度は地面から、モグラのように出てくる。  桜川は死体が欲しいようだが、俺は、どうして死ぬために来ているのかが知りたい。 「袈裟丸。どれかから、どういう組織から来ているのか聞き出して」 「了解」  袈裟丸を見ると、力強く頷いていた。亜空間相手よりも、袈裟丸は人間相手の戦闘を得意としていた。やっと出番という具合に、袈裟丸に気合が入っている。  しかし、袈裟丸の隣にいる、御卜はとても可愛い。見た目が可愛いのもあるが、純朴そうな表情がいい。真っ直ぐに袈裟丸を見ていて、慕っているというのが、よく分かる。 「はあ……俺も恋人を作ろうかな……」  離婚されてから、まともな恋愛をしていない気もする。身近に、時季や響紀がいて、誰よりも何よりも大切な存在ではあるが、恋ではないのだ。  恋は捨てられるが、仲間は絶対であった。そこを間違えると、チーム全員が死の危険に遭ってしまう。そういう連中を幾つもみてきた。 「大和、この刺客の雨?をどうにかしてから考えてください」  御卜に怒られてしまった。空からよく刺客が降ってくる。そういう時は、元から絶てばいいのだ。  空の奥、亜空間のさらに向こう側に、相手はいる。気付かれずに移動してきていると、相手は思っているのかもしれないが、亜空間で俺の知らない道はない。  道を辿り、元を見つけ出す。
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