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三人は、鬼城の頭領、火の屋 武尊(親父)と俺であった。火の屋は、武尊から息子へ能力が引き継がれたと主張し、ジュノー家は産んだのはジュリアンだから自分達にも権利があると主張した。全面戦争を避け、俺を殺すということで和解したともいう。
「ジョン、今更、火の屋と喧嘩するのか?」
「違うよ、兄さん!俺は兄さんが、可愛い!!!!!」
どういう理論なのか、俺にはさっぱり分からなかった。
「ドリウトで食事してから、どうにも気になってね。兄さんは、こんなに可愛い存在だったかとね。で、納得した。写真で見ても、画像で見ても、昔から兄さんは絶品に可愛い!!!!」
ジョンはこんな弟だっただろうか。
「兄さん。俺は、毎日、兄さんを生で見ていたい」
それは誤りだろう。
「おかしいかな?と考えたけどね、映像を見ていたら、全然おかしくなかった。これは、生で見るものだってね」
生、生と連呼すると、どうも刺身にでもなった気分であった。
「俺は、自分の気持ちがすごく理解できたよ。そうしたら、いてもたってもいられなくて、武器を持って家を飛び出してきたよ」
ジョンが満足気に、頷いていた。本音で言うと、こんな弟はいらない。
「火の屋と戦争?任してよ、兄さん……」
ある意味、ジョンは最強に怖い。
第2章 砂漠がいいか、ジャングルか
道幅一杯、空に続くまでに連なる、武器や兵器の数々、それを睨むように時季と響紀が対峙していた。これで、笑う者は鬼城を知らない。
鬼城のS級と呼ばれる人材は、一人でもこの大差とも呼べる状況でも、負けるということがない。
ナイフ使いであり、接近戦のプロの響紀でも、一人でこの状況を覆すだろう。
「……ジョン、頼むから、ここでは何もするなよ」
見上げると戦闘機も飛んでいた。ジョンも武器商人、鬼城を熟知している。
険しい表情をしていたジョンが、ふにゃりと笑う。
「兄さん!ならば、一緒に暮らそうよ」
通りの真ん中に、ジョンも来ていた。集中攻撃もできる位置なのだが、宇宙空間、戦闘機、他、もろもろの兵器でジョンは見えない武装をしているのだ。下手に攻撃したら、鬼城の星ごと消滅する。
「紫の目に白い肌、黒髪。本当に姿は武尊さんだよね。でも中身は、ジュノーだよね。だって、武尊さんは機械音痴。俺のシステムに介入して、操作はしない」
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