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「そりゃあ、私と火の屋が大恋愛して造った子供だからね。産まれた時から、殺し屋に狙われて育ったよ。感と運と、実力がなかったら、とっくに死んでいただろうね」
ミコトが、嬉しそうに俺に飛びついていた。
「でも、俺、今、大和さんを殺せましたよ」
ミコトが、抱き付いてから妙に冷めた表情になった。
「やってみな」
ジュリアンが、笑っていた。
「え、え?銃もナイフもない……」
習慣で、近寄った銃とナイフを亜空間で保管していた。一定距離が離れれば、ちゃんと銃とナイフ等、危険物は帰している。取られたと気がつかいない人も多い。ちなみに、鬼同丸のメンバーは、自分の亜空間に最初から武器を保管しているので、容易に奪う事はできない。
「素手があるでしょう?」
兄達に励まされてミコトは、素手で俺を殴ろうとしたが、見えない糸がからまって、腕は動かない。
「手が動かない」
これが敵であったのならば、既に糸で腕を切り落としている。
「大和、何秒でミコトを殺せる?」
「一秒以下ですよ」
俺の解答に、ミコトは満面の笑顔になっていた。
「本当だ!強いや。それに、横顔もかっこいいし、ドキドキする」
俺は、ミコトから離れると、ジョンの前に立った。
「ジョン。息子に家を継いでもらえ。それぞれの世界があれば、情熱というものを知っているだろう。売るというのは情熱だろ?」
「でも、兄さん。俺は兄さんを愛していますよ。それに、ジュノーも兄さんを必要としています」
どう必要としているのだ。俺が、じっとジョンを見ていると、長男のエリンが横に立っていた。
「今もジュリアンの実演販売が、ジュノーの銃器の一番の売上なのです。ジュリアンを凌ぐ存在など、今までありませんでした。でも、ドリウトの銃器の売上は、大和さんが一番なのです」
それは、ジョンが一緒にまわったからであろう。俺が売ったというわけではない。
「どんな銃器も使いこなす。そんな存在が、ジュノーには必要なのです。相手にアドバイスでき、自分が一番の使い手である。大和さんです」
エリン、母親に似たのだろう。冷静に見つめていた。すると、ジョンはいい嫁を探したということだ。
「生まれた時から銃器を使っていれば、誰でも使えるようになるだろう。ジョンの息子ならば、そういう環境だっただろう。君達にないのは、自信」
俺は、溜息をつくと、正座しているジョンに手を伸ばし、立ち上がらせる。
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