『臥し待ちの月』

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 時季の膝の上で、歯を食いしばるしかできない。俺が首を振ると。時季が嬉しそうに笑顔になった。 「シェリエは慣らせない。いつも生娘って言われているよ。本当だね、大和」  ちゅばちゅばと、時季が頬や眉、そして唇にキスをする。 「でも、俺は、気長だからさ」  時季が俺の両脇に手を入れ、持ち上げた。ずるずると、入れていたものが、引き抜かれていった。 「うわあ、あ、あ……んん」 「だろ。そこは、そういう機能。圧迫されて空洞にされると、気持ちいいの」  確かに、気持ち良かった。何だか空洞感が、ほっとした気分だった。しかし、次があった。 「空洞感を満喫したら、又、圧迫かな……」 「待った!待った!時季……」  これで充分と言いたいが、時季は俺をまだ離そうとしていなかった。 第七章 燃えるような夕日  鬼城に到着すると、俺は、一羅のいる本部に通されていた。和室の小部屋で待っていると、和服の一羅がやってきた。 「一羅様、この度の失敗は、俺の落ち度です。ご迷惑をおかけしました」  俺は、自分の失態を、素直に鬼城に謝罪した。 「内容は聞いているけど、まずは説明して」  部下でもある高麗を、言われるままに先方に渡してしまったこと。そして、高麗を改造されてしまったこと。本人の意思を尊重したが、本来は、仕事(任務)が優先させねばならない事であった。 「本当に、申し訳ありませんでした。今後は、チームでの暴走を防ぐために、監視役を置きます」  やはり、伊万里をチームに加えよう。冷静な目が、俺のチームには必要であった。 「それもあるけど、桜川は宇宙でも有数の富豪というのもあってね」  一羅は、俺が頭を下げているのに、軽く肩を叩いてきた。 「しかも、桜川、冗談ではなく、本当に高麗を籍に入れていた。高麗は、桜川の妻のポジションにいる」  富豪の妻。しかし、同性婚で妻とは、どういうポジションであろうか。 「つまりは世帯主が桜川で、扶養家族が高麗なのかな」  きょとんとしている俺に、一羅が説明してくれた。 「資産はどう配分するつもりなのかな。高麗には、ちゃんとした弁護士が必要であるよ」  それは俺に聞いても無理であろう。 「それで、今回の責任を取って、高麗には寿退社を勧める。高麗は、仕事を放棄した状態にあるだろう。それなりに罰しなければならないが、こちらは、桜川という客の顔もたてたい。そこで、寿退社」
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