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第八章 天と地と雨と霧
桜川の星、サクライチゴのチームは苦戦していた。
地上基地は、もうすぐ完成というところまできていたが、閉じた筈の亜空間はすぐに開かれていた。
桜川自身が亜空間使いということと、亜空間の本来の持ち主が、俺ではなかったので、完全に閉じていなかったせいもある。
俺にしてみると、結構、悔しい。上書きしたつもりであるが、力負けしたということになる。
地上に降りてみると、滑走路が木の上に出来ていた。これならば、誰でも離発着できる。
「亜空間は、ゲートキーパーよりも亜空間使いのほうが、技も力も上ですからね」
伊万里に言われると、頷くしかない。伊万里の方が、俺よりも、亜空間使いとしては上であった。
「それに、五羅の祖父は、ゲートキーパーの上をいく、ゲートマスターと呼ばれていましたからね。亜空間使いで、ゲートキーパーですよね。小僧に上書きなどされないでしょう」
結構、伊万里はきつい性格なのかもしれない。
「分かった。俺も、伊万里の元で修行する」
伊万里が、俺の方を向いた。物凄く嫌そうな顔をしていた。そんなに、嫌な存在なのだろうか、俺。
「大和は、桜川の元で修行させてくれと行ってみたらどうですか?仕事もあるし、丁度いいでしょう」
「伊万里。そんなに俺を邪険にするの?」
伊万里は、顔を背けて周囲を観察していた。
「一羅さんにも言われています。大和を守ってゆけとね。五羅からも、守れと指示されていましたよ、でも」
守れと指示が出される、頭領代行では情けない。
「それは解除だ。俺よりも仕事、守らなくていい。では、桜川に教えて貰う」
「五羅は孝太郎と戦いに行く時に言った。自分が戻って来られない場合を考えていた。あの兄弟は似ています。次世代のゲートキーパーを死守しておけ。これが未来の勝利になる。死守はいい。でも、戻ってきて欲しい」
俺も、失いたくない。ゲートキーパーは、又生まれるようになるだろう。でも、死んでしまったら、帰って来ない。
「……俺は五羅の指示を続行しますが、まあ、桜川はいい先生でしょうから。行ってきてください」
桜川は、いい先生であるのか。
伊万里は、百武と合流すると言って、どこかに行ってしまった。
基地を見て回ると、かなり作り込んでいた。
しかも、かなり巨大であった。設計図通りにはなっているが、何か付け足された気もしる。
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