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ジョンが、ハグすると頬擦りをしていた。このスキンシップは、昔では考えられない。
ジョンは、四十歳を超えていた。でも、俺の弟であった。これには理由があり、俺達のチームは、二十三年前に亜空間に閉じ込められ、最近まで時間が止まっていたのだ。一週間の任務から帰ったつもりが、戻ったら二十三年も経過していたのだ。あれこれ宇宙法に照らし合わされ、俺達は見た目のまま、失踪当時の年齢が採用となった。なので、二十二歳の兄に、四十歳を超えた弟となった。
「ジョン、何しに来た?」
ジョンが走り寄ってきた先には、ジュノーの最新兵器が並んでいた。それも、大通りからはみ出さんがばかりに並んでいて、その数は百を超えるだろう。
これでは、戦争をしに来たと勘違いされても仕方がない。
「兄さん。俺は確かに、昔は兄さんを殺そうとしていたけど、今は違う」
大袈裟にジョンが嘆いていた。
「兄さんを、ジュノー家で引き取ろうと思ってきたよ!俺の養子にしたい!本来はジュノーの跡取りは兄さんだろう、本来の形に戻すだけだよ」
どこの世界に、弟の養子になる兄がいるのだ。怒った袈裟丸が、戦闘機を二台、ひっくり返していた。
「大和様は我々の頭領です!渡すわけがないでしょう!」
袈裟丸が、俺を大和様と様付けで呼ぶのは珍しい。
ジョンも渡すわけがないと思っているので、この装備を用意したのであろう。しかし、ここで銃撃戦などになったら、被害が大き過ぎる。しかも、ジョンは星一つを、吹き飛ばす勢いで装備をしてきた。
「ジョン、俺は鬼城だよ。もう、ジュノーではない」
鬼城にとっても、宇宙最大とも言われる武器商人のジュノーを敵にはまわしたくないだろう。本気でジョンが戻れというのならば、鬼城はジョンに味方する。
「兄さん。今宇宙法では、兄さんは未成年なんだよ。せめて保護者は俺でいいよね?」
どうして、俺がジュノー家からも、火の屋からも殺し屋を付けられたのか、ジョンは知っているはずであった。俺は、現在、宇宙で三人認定されているゲートキーパーでもあった。ゲートキーパーは、亜空間を他者に与える力を持つ。生粋の鬼城とシェリエと呼ばれる血統にしか現れない能力であった。
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