第四章 静かな湖畔

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「形見って不吉だろ。これは、やっぱり……」  時季の顔が青ざめていた。 大和が欲しいのならば、俺に勝て、 時季は五羅に何度も言われていたらしい。 五羅は、鬼城でもSS級、戦闘では一番強いと言われていた。 「勝つ!しかない……」  冷静な響紀も、僅かに青褪める。 この二人は、俺に手を出しているからだ。 「でも、五羅が生きていて良かった。あれでも、俺の弟だからな。 母は違っても、兄弟には違いない」  鬼城の兄弟関係もよく分からないが、母違いで兄弟姉妹が沢山いるらしい。 一羅はそこで、祝いと言って又酒を飲んでいた。 「大和、火の屋の息子。 姿が似ていて、孝太郎と戦った過去が昨日のようだと思うよ。 武尊もジュリアンも皆の憧れで象徴であった。 一緒に戦えば勝利する、そういう伝説を造っていた二人だったよ……」  俺の両親は、今もその象徴を背負っている。
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