第四章 静かな湖畔

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その重みよりも、彼らは沢山の仲間の命が失われたことを嘆いていた。 その気持ちは、俺も分かるようになってきた。  俺は、鬼同丸の仲間を失いたくない。 「料理を食べなさい」  出された料理は、上品で、どこかこの味を知っていた。 もしかして、新人の緑川の実家ではないのか。 「ここ……緑川?」 「そうですね、実家になります。 父親が料理長で、母親が女将です」  響紀が、俺に酒を注いでくれた。 「一羅様、酒はほどほどにと奥様から伝言です。 それと、仕事してくださいとのことです」  女将が料理を持ってくると、深々と頭を下げた。 「大和様、大神様、出雲様。息子がお世話になっております。 一緒の仕事ができると、息子は浮かれておりましたよ。 本当にお美しい姿で驚きました」  誰の姿であろうか。 俺は作業服で、時季と響紀は作務衣であった。
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