第四章 静かな湖畔

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「そんなに寂しげな表情をするなって」  いや、ただ俯いただけだ。 表情が寂しいのは、生まれつきでよく言われる。 「本当、この場で抱きたくなる」  響紀の言葉に、俺は襖まで飛び退いていた。 こんな公共のような場で、何かされたくない。 「そうだよな。昨日も一晩中、技の稽古をしたよ。 体の熱が取れなくてね……」 「時季もか?俺もだよ」  この二人に、昨日、抱かれなくて良かった。 やり殺されてしまうところであった。 「しかし、ソニアから、うるさいと二十回くらいクレームがあったっけ」  今日は、ソニアの機嫌が悪いかもしれない。 新人も入ることだし、 ソニアのご機嫌をとるために、新しい機材を購入して帰ろうか。
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