第一章 仕事探しは前途多難

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 細い路地を抜けてゆくと、 家と家の隙間で商いをしているような、うどん屋があった。 暖簾は地面まで伸び、紺地に白文字で、丸とだけ書かれていた。 「丸?」  袈裟丸は、迷わず中に入ってゆく。  俺は、このうどん屋に入るのは初めてであった。 「おっさん、うどん二人前」  袈裟丸は、奥に入ると丸椅子に座った。 俺も入ると、店内を見回す。 「うどん、大盛りかい?味は?」   店主は、片足を失っているので、 元、鬼城家のどこかの組に所属していたのだろう。 任務で怪我をして引退した者も、この星には多く存在していた。 「超大盛りで、醤油。大和は、どうします?」 「大盛り、塩味。薬味はねぎで多め」  俺は、袈裟丸の横に座った。 ここ、店内というよりも、道であった。 上を見ると、屋根はなく空が見えていた。
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