第五章 桜川 伊都(さくらがわ いつ)

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「……殺す」  俺は、桜川の邸宅の廊下に出ていた。 「依頼主ですけどね」  しかし、場所を特定して出たのに、何故廊下なのか。 光の漏れるドアを開けた時に、桜川の回答があった。 「この邸宅内には入るなという、契約を破りましたね」  その部屋には、機械の部分を全て外された高麗が、水槽に浮いていた。 「俺達との契約にも、俺達が攻撃を受けた場合は、 それが依頼主であっても報復する場合があると注意書きがあったよ」  桜川は、ニヤリと笑っていた。  部屋の中には、水槽が中央にあり、機械を外された高麗は、 体の半分が無かった。 各臓器も無いようで、羊水の中に近い状態でないと、 生命を維持できないらしい。
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