第五章 桜川 伊都(さくらがわ いつ)

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「亜空間にデータを保存するのは止めろ。 筒抜けだからな」  そもそも、保管が雑過ぎる。 「機械に保存すると、すぐに狙われてしまいましてね。 亜空間からデータを採り出すのは命懸けでしょう?」 「俺のチームの姶良を貸す。 亜空間でのデータの保存方法をしっかり教えてもらってくれ」  また、高麗の映像が流れてきたら、この星を爆破しかねない。 「了解しましたよ」  しかし、この水槽で桜川の最後の実験が何なのか分かった気がする。 これは機械を付けるための方法ではない。 人間を治療するための槽であった。 しかも、神経を伸ばそうとしている。 「有機型で、生身と遜色のない義手とかを作りますか? それとも限りなく生身を目指しますか?」  桜川は、驚いたように目を見開いてから、水槽に近寄った。
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