第五章 桜川 伊都(さくらがわ いつ)

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「そういうのも造った。 俺が最後に見たいのは、生体を越え、半身を守る生命体のような半身だ」  意味が分からないが、要は、高麗を守る生命体が、 いつもは高麗の半身になっているということか。 「……意識のあるものが取りついている状態はおすすめできませんよ。 判断が異なった場合は、命取りになる」  桜川が、俺に近寄ってきた。 「では、君ならば、どうこの半身を組みあげるかな」 「高麗は生まれつき半身が機械で、操作は自分の体と同等でしたよ。 でも、痛覚や温度、感度がなかった。 この感度は、機械を組込んでも再現できませんでしたよ」  皮膚は、生体を使用し、皮膚の下の神経を生かす。 この微細な感覚は、人間にとって重要であった。
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