第六章 夜咲く花と、 散る花と

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「でも、あれは、DNAを組込んだナノマシンか……」  やはり、桜川は高麗を実験体にしているのか。 ナノマシンにDNAを組込み、 人間の一部として機能させてゆくなど、聞いたこともなかった。 「高麗……」  やはり、助け出さなくてはいけないのか。 しかし、この状態では施設の外に出せない。 「大和、そうでもないのよ」  時季が起きてきて、俺の後ろに座っていた。 俺を抱き込みながら、同じ亜空間からデータを採り出してきた。  そこには、高麗の車イスを押す、桜川の姿があった。 高麗は終始笑顔で、しかも、信頼に満ちた目で、桜川を見ていた。
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