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「あ、ゆずを忘れた」
塩うどんには、ゆずが合うのだ。
俺が手からゆずを出してうどんに絞っていると、
店主が凝視していた。
「どこから、ゆずが出たの?今年は、ゆずは輸入しかなくてね。
ここには、置いてなかったけど」
「……大和、亜空間は使用禁止になっているよね?
どこから、ゆずを出したのかな?」
「ポ、ポケット……」
店主はそれで納得していたが、袈裟丸はまだ睨んでいた。
「しっかし、袈裟丸だったよね。この前と違う子だよね。仕事関係かい。
もてるねえ……しかも、こっちも別嬪だね」
この前の子とは、もしかして、御卜(みうら)なのか。
俺は、御卜に振られていた。
御卜は、俺ではなく、袈裟丸を選んだのだ。
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