第一章 仕事探しは前途多難

15/30

82人が本棚に入れています
本棚に追加
/306ページ
「あ、ゆずを忘れた」  塩うどんには、ゆずが合うのだ。 俺が手からゆずを出してうどんに絞っていると、 店主が凝視していた。 「どこから、ゆずが出たの?今年は、ゆずは輸入しかなくてね。 ここには、置いてなかったけど」 「……大和、亜空間は使用禁止になっているよね? どこから、ゆずを出したのかな?」 「ポ、ポケット……」  店主はそれで納得していたが、袈裟丸はまだ睨んでいた。 「しっかし、袈裟丸だったよね。この前と違う子だよね。仕事関係かい。 もてるねえ……しかも、こっちも別嬪だね」  この前の子とは、もしかして、御卜(みうら)なのか。 俺は、御卜に振られていた。 御卜は、俺ではなく、袈裟丸を選んだのだ。
/306ページ

最初のコメントを投稿しよう!

82人が本棚に入れています
本棚に追加