第六章 夜咲く花と、 散る花と

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 そして第二段階、 ナノマシンは生身と融合して乗っ取りを始めていた。 血液の中に、心臓に入り、その一部と化す。  高麗は、本当の意味で機械とのハーフになってしまっていた。 その機械が、感じるということが、桜川には歓びなのかもしれない。 機械には感じるという機能はないが、 高麗は毎日、しかも長時間、桜川に抱かれていたことで、 ナノマシンに重要な機能として組み込まれたのだ。 「俺は、あれこれ間違えた。 高麗を桜川に渡してはいけなかった」  すごく、泣けてくる。 高麗は、俺の大事な仲間で、人間であったのだ。 「俺は、銀狐からも高麗を奪ってしまったのだろうか……」 「泣くな、大和。高麗を助けよう。半分機械は、元々だろ。 恋に痛みは付き物だからと、笑って言える日がくるように」
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