第六章 夜咲く花と、 散る花と

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 俺の初めての男は、ここに居る時季だ。 誰よりも優しくて、俺を守り続けている男。 この恋も痛い。 仲間でチームで、失えない存在であった。 俺の体なんて、いくらでもくれてやるが、 恋はできないのだ。 「恋では死ねないけれど、大和の為なら死ねる……」  時季の言葉は甘い。 時季の、くせ毛の髪も、赤毛も赤い瞳も、 皆が見つめる特別な存在であった。 派手で目立って、美しい獣のような姿。 それが、俺を見つめている。 この優越感は、時季が相手だからだ。 「もしも、俺が五羅のものになったら、そん時は奪え、 時季……」 「……当然」  時季が上着を脱ぎ、床に敷いていた。 もしかして、本当にコクピットなのか。 確かにこの船に、まともなベッドはない。
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