第一章 仕事探しは前途多難

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 ちょっと、気分が落ち込むと、目の前のうどんが大きく見えた。 「ビール、一本」  ビールでも飲まなければ、やっていられるか。 「未成年には出さないよ」  店主に、きっぱりと断られた。 「未成年ではないよ」  持っていた身分証明書を提示してみた。 身分証明書というか、タグのようなものであった。 所属や、医療に必要な事項が書かれている。 「特S級、鉄鎖出身の鬼同丸……」  店主がビールを出してくれたが、 俺が飲む前に袈裟丸に奪われ、一気飲みされていた。 「あっ……」 「飲ますなと言われてきていますから」  誰に言われたのだ。 「そうか、その姿。火の屋の息子か」  その台詞に、袈裟丸は顔を真っ赤にして立ち上がった。
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