第七章 燃えるような夕日

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 うなぎ屋ののれんを潜ると、店先でウナギが捌かれていた。 桶が積み上げられ、中に生きたウナギが水を浴びていた。 「おかみ、二階を借りるよ。ウナギ上を二つ」  急な階段を登り、二階に上がると、大部屋と幾つかの小部屋があった。 一羅は迷わずに、奥の小部屋に入って行った。  奥の小部屋には、既に先客がいた。 「時季?」 「大和か、一羅の説教は終わったか?」  時季はウナギを既に食べていた。 「まあ、高麗を寿退社」 「そうか、まあ、それは恩赦だよね。高麗だって分かっているはず。 手足を外されていたら、護衛とは言えないだろう」  俺が甘かった。 桜川の元に、高麗を行かせるのではなかった。 高麗は護衛ではなく、桜川に守られていた。
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