第2章 砂漠がいいか、ジャングルか

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「ジョン。お前の妻がな、私に頼んできたよ。 この大馬鹿者を連れ帰ってきて欲しいとね」 「大馬鹿者!」  ジュリアンの横に、少年が並んだ。 「大馬鹿者!」  又一人増えた。 「大馬鹿者」 「大馬鹿者」 「おおばかもの」  次々増えて行った。 この五人は、並ぶとどこか似ていた。 「……ジョンの息子か?」 「そうだよ」  一番下は、結構小さい。六歳くらいであろうか。 子供の頃のジョンによく似ている。 「えっと、名前は何かな?」 「俺はミコトだよ。 ママは怒っているけどね、大和君がジュノーに来るのは賛成していたよ。 パパが馬鹿者だから怒るのだって」  ジョンは確かに馬鹿者であるが、きっと、いつも、 今のように五回は連続して詰られているのだろう。 そこには、同情する。 子供は、母という、優秀な方に加担したのかもしれない。
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