第三章 本当の夜というもの

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 自分達が禁欲なのに、目の前でされると、確かに困ってしまう。 御卜は、俺が手を出した時は、男は初めてで、あんなに善がるなんて無かった。 すっかり、御卜の体も、袈裟丸のものになってしまったということか。 「このまま見ているのも、何ですから。丸見えだと、教えに行きますかね」 「それは、やめた方が……野暮です」  時季と響紀が、同時に俺を見る。  闇でも見える。 S級なので仕方がないが、山の中でも気配で、人の位置も分かる。 袈裟丸も、ここからは見えていると、気付いているのかもしれない。 「ソニアに帰るか」  ここには、居難い。
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