第三章 本当の夜というもの

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 確認したくはないが、森の中でも俺達は見えている。 これは、訓練による能力で、覗きのためにできるわけではない。 「やっぱり、していたか」  今度は、御卜は立ち上がり、 顔を埋めるように、木に寄りかかっていた。 その尻の部分に、袈裟丸の頭があり、袈裟丸が御卜の腰を両手で支えていた。 すると、袈裟丸が立ち上がり、また、腰を進めた。 今度は立ったままなのか。 御卜が、木にしがみ付いて喘いでいた。 御卜の双丘に消えてゆく、太い影が艶めかしい。 「これは、百武にもバレているよな。袈裟丸よりも御卜が心配。 御卜は、実績もまだないし、実力もついていない」  御卜は、素質はあるのだが、実践経験が乏しく、 特技というものも身に付けていない。 恋愛よりも訓練だと、百武に追放されかねない。
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