第三章 本当の夜というもの

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「シェリエのゲートキーパーが必要か……」 「大和、ゲートキーパーではなくても、 亜空間使いならば、孝太郎に拮抗できるよ」  拮抗できるだけの能力者が、存在するのであろうか。  ソニアが生きていたならば、拮抗できたかもしれないが、 今は機械になっていた。 「ソニア。探す方が早いかな、それとも育てる方がいいのかな」 「両方だろ」  ソニアと並んで大広間に行くと、大広間には誰もいなかった。 このソニア、生前は凄腕の殺し屋だったという噂もある。 ソニアという船になってからも、幻影の腕は落ちていない。 「なあ、ソニア。この空間に、孝太郎の世界を構築してよ」 「孝太郎の世界。取り寄せた映像から、街並みは再現してみたよ」  空間に、街並みと人が現れた。 知らない街並み、これが、五羅の居る亜空間であるのか。 道は土になっていて、建物はレンガであった。 建物には、二階屋が多く、どこか鬼城にも似ていた。
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